@原付バイクと風景画 12


@原付バイクと風景画 12

「遥、絵を描いているの。だから」
「あっ! なるほど! そういや、里美先生、絵が上手いもんな。きのう、絵を習ってたってことだろ? ちがうか?」
「そうだよ、習ってた」
「遥ってさ、絵描けるのか?」
「うん!」
「どれくらいうまい?」
「わかんない。先生とか、お母さんとか、よく褒めるけど」
「上手いってことじゃん!」
「そうなの?」
「そうだよ! 上手いんだよ!」
「えへへ
 学校に着いた。それぞれの机に座る。朝の会が始まるまでの間、剛は一方的に遥へいろんなことをくっちゃべった。同級生の事、家族の事、先生の事。遥はそんな彼のはなし興味深げ聞いていた。初登校後からは朝の会の前にクラスの子らが遥のもとに集まることはなかったが、皆、剛の行動を観察していた。朝の会になった。そして終わる。
 先生は黒板横にある自身用の席に座った。もちろん机も用意されていた。遥は席を立って先生のところへと歩み寄った。里美先生! と。
「里美先生、きのうはありがとうございました!」
「あら、礼儀正しい子ね。どういたしまして。うふふ
「先生、今度から遥も先生と同じ絵具で絵を描きたい!」
「うふふ そうね。でもね、そのまえに宮古島に滞在している画家の個展に行きましょう」
「個展?」
「そうよ。画廊(がろう)と言うところにあるわ」
「画廊?」
「うふふ そう、画廊」
「あの、里美先生。画廊ってどんなところですか?」
「画廊とは、テナントに画家の絵がいっぱい置かれている場所なの。英語ではギャラリーというのよ」
「テナントって?」
「テナントは貸家みたいなものよ。場所を借りて商売しているところ」
 言って、里美は遥ちゃんの表情に注意を凝らした。遥は、なんとなくだがとりあえずは理解できた様子だった。剛が来た。
「せんせい! 俺も一緒に行ってもいい?」
 里美はおもわずくすくす笑った。
「いいわよ。あなたは遥ちゃん目当てだと思うけれど、一緒に行きましょう」
「やったー!」
「遥ちゃん、その画家はね、かなり有名な人で、東京でもギャラリーをやってるのよ」
「そうなんですか?」
「あら、あまりそのへんのところは興味が無いのかしら? そうね、まだ小学二年生だものね。でも、もう少し大人になったら、これがどれだけ凄いことなのかわかるようになるわ。たのしみね。うふふ

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