@原付バイクと風景画 25

 


@原付バイクと風景画 25

これから毎年北海道へ行くことに。楽しみではあるけれど、そんなことを言っちゃいけないわ。遥ちゃんにとっては悲しい思い出が詰まっているのだから。嗚呼、なんてかわいそうな子なのかしら。でもね、それでも遥ちゃんはこうして大人になってゆく。それはだれにも止められなくて、遥ちゃん自身がとめることも許されない。この子は容姿がきれいだから、お母さんは男関係についてとっても心配していたけれど、なんとかなるものだものね。でもこれ以上、遥ちゃんに不幸が起きないようにしなければ。里美はそう思いを巡らせていた。

 剛と遥は放課後一緒の時があった遥ちゃんが職員室で宿題をするようになってからというもの、剛君はいつものように放課後一緒になることをためらっていたからである。遠慮していた。それなものだから、絵画の受賞知らせが来る二学期が終わるころからは全くと言ってよいほど放課後、顔を合わせていなかった。それが三学期になってから、なにか遥ちゃんが離れていったような喪失感が剛へと強い重しになり、次第に焦る感情へと変貌を遂げて襲い掛かっていたものだから、厚君は少しでもよい。遥と放課後一緒にならなきゃ。そんな思いだったのだ。遥ちゃんはその気持ちをなんとなく察したようで、職員室で剛と一緒に絵を描いたりしていた。校庭は北風が吹きつけていて寒かった為に、職員室のみで放課後は一緒。

 遥は本当のところ、孤独になりたかった。誰とも会話を交わしたくはなかった。孤立してもいいとさえ思ったし、どうでもよかった。だけども、せっかくみんなが元気にしてあげようとして頑張っているのに、遥ちゃんが笑顔にならずにはいられなかった。とってもさびしかったけれど、つらかったけれど、遥ちゃんはみんなのためにも作り笑いを見せた。その表情はあからさまにして偽物だと同級生みんなは感づいてはいたが、誰一人としてそれを口にする奴などいなかった。ほんとうにみんな優し

 剛は職員室で絵を描くとき、必ず遥をモデルにした。遥だけを描きつづけた。初恋の相手だ。それが当然と言えばそこまで。そしてまた、羞恥心もなくそれが堂々とできた剛は、本当に頼りになる男児。曇りのない子供。児童。遥はといえば、リンゴのスケッチやバナナなどの果物といった基本的なものを描いた。それを見て剛君は、うまいなぁ……。とため息をこぼす。剛はときどき遥に自身のスケッチを見せた。遥はとても喜んだけれど、彼としてはもう少し絵が上手になりたかったし、遥を上手く表現できないことで、非常に地団太した。遥ちゃんはそれを察すると、剛の絵をとてもよく褒めてあげた。こんなにかわいくないよ、でもありがとう。そう言葉を交わしたりなんかした。

「遥、俺の絵も描いてくれよ!」

 剛君はたまらず発した。自分の顔を見つめてほしかった。

「うん、いいよ」

 遥に承知された剛はそれはもうとにかく喜んだ。

 ふたりは向かい合って絵を描きあった。ときどき目が合う。とても恥ずかしかった。だけれど、剛君は目をそらすことをしなかった。遥も同じで見つめた。互い心の世界へと誘われる。そこはとても素敵な国だ。泉が溢れ、芝が生い茂り、魚たちも動物たちも遥と剛に好意的。遥は立ち上がって傍にいる仔馬の首筋をやさしく撫でてあげる。仔馬はとても気持ちよさそうに目を泳がせた。いま、遥と剛は素っ裸だ。一糸まとわぬヌーディストである。それに対し二人は何も言わなかった。まるで最初逢った時から裸であったかのように隠し事など何もなかった。互いの恥部の味を知っているほどの仲だ。陰部は恥ずかしそうにしょっぱかった。ヴァージンの味。童貞の味だった。いれて……。あつしくん。ああ

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