@原付バイクと風景画 27

 


@原付バイクと風景画 27

ャー、その何もかもがオーバーリアクション。遥ちゃんの笑顔と、うん!という言葉がとてもうれしかった。

 ホテルで夕食は取らなかった。出たとしても、それを食えるほど腹に余裕がなかった。今日の観光はほとんどが食べ歩きだったものだから、ほとほと胃袋は疲れ果ててしまっていた。今日はあれやこれやと一杯食べたわね……。里美は遥ちゃんと大浴場の露天ぶろにつかりながら、ふと、心に呟いた。一方の遥は、まだ子供なものだから熱湯になじまず完全のぼせてしまっており、先生、先に――。と、シャワーで水浴びをしたのち大浴場を後にした。

 翌日の朝、ホテルのチェックアウトを済ませる。朝食はホテルではなくて空港のレストランで取ることになっていた。レストランと言っても喫茶店のような作りのそれは、軽食程度の物しか品揃えはなかった。勿論それを取ると言う事ではなくて、モーニングセットを注文するわけだが、昨日の胃袋加減と異なったものだから、幾分それだけでは物足りなさを二人は感じた。飛行機に搭乗する。

 沖縄本島経由で宮古島空港に着くと早くも夏の香りが漂っていた。初夏真っ盛りだ。その気温の差にも遥ちゃんと里美は旅疲れを一気に感じた。住まいへと戻るころには、時刻は夕方になっていた。とはいえ、宮古島における夏の日没は十九時ころと遅かったために、この時間である十五時はじっさいのところ夕方でも何でもなかった。痛い日差しが肌を焼き付けて強かった。

「はるかちゃん、あしたね、大事な話があるのよ」

「だいじなはなし? なんですか?」

「とっても大事な話。遺言状と言ってね、おかあさん宛から遥ちゃんに手紙があるのよ。遥ちゃんのお母さんは遥ちゃんに話しておかなければならないことがたくさんあるみたいなの。それを私が預かってるのよ。あした一緒に読みましょうね」

「うん……

「いいこね。だいじょうぶよ。変な事は書かれていないから」

「へんなことって……。先生はもう見たの?」

「いちおうね。前もって確認だけしておきました」

「うん……

 こんやの夕食は旅疲れのために総菜屋ののり弁当。のり弁当と言っても田舎のそれは量が半端なく多かったし、入っている品々も豪華そのもの。それを里美と遥ちゃんは、ゆっくりとゆっくりと平らげた。ごちそうさまでした。二人で手を合わす。それからふたりで風呂に入った。里美が遥の背中を洗ってあげると、遥ちゃんも同じだけごしごしと里美先生の背中を磨いた。湯船にも入。夏場にしては少し熱い四十二度。ふう、今日は疲れたわね……。里美はそう発すると、ひとつ吐息を吐くのだった。今夜はよく眠れた。遥と里美はお下品にもよだれを垂らして熟睡。

 次の日の朝になる。今日の朝食はイチゴジャムバターパン。遥が大好きな朝食のひとつである。おいしい! それを見て里美は微笑んで魅せた。そう、よかったわね いっぱい食べていいのよ。食パンはまだあるから。もっと焼く? うん! あと二枚だけ――! そんな会話が交わされた。実にほのぼのとした家庭。今日も遥ちゃんの機嫌が良くてよかったわ。里美はそう思ったし、そうでなければ今日の昼に遺言状を読ませるわけにはいかなかった。機嫌の良いうちに話しておかなくちゃね。彼女は昼過ぎからという計画を前倒しして、午前の内で遺言状を渡すことにした。十時にな

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