@原付バイクと風景画 22


@原付バイクと風景画 22

想像の通り。沖縄県のイカは高級魚でアオリイカと言った。墨もまた素晴らしく美味で、とくにイカ汁にすると最高の一品。もちろん遥と里美のあたらしい家族も、住まいでイカ汁をほうばりすすった。
 里美は宮古島の小学校に赴任するまであまり料理が得意ではなかったのだが、本格的な自炊をするようになってからというもの、すっかり料理が上手になっていた。遥ちゃんの好きなハンバーグ、そして禁じ手のミートソーススパゲッティもソースから作れるほどだ。なかでも宮古島で習った麺からつくる宮古そばは巧み。正直に美味しすぎた。地元の人でもうなるほど。今日はその宮古そばを昼食として遥に与えた。つなぎで長命草の入った緑色の麺はヤギ肉の臭さに丁度マッチングしていてしごく美味しかったものだから、遥はもう一杯とお代わりをした。里美はそれを聞くとなんだかとてもうれしくなったし、徐々に遥ちゃんも元気を取り戻してきたわね。と、すこしだけほっとする。
 遥の風景画は相変わらず近代アート調。三角と四角と丸で表現するそのアートは、もはや遥ちゃんの十八番のようなもの。里美先生は遥のその絵を見るたびに、ああ、美術大学はデザイナー科も良いかもしれないわね。と、考えたりもした。彼女なら推薦で大学にまで行けると思ったし、何も心配することなどなかったけれど、この才能は画家と言うだけの枠には収まらないなと感じていたものだから、将来の見定めが難しいなと、里美は思った。しかしながら遥ちゃんは画家になりたいと思っているはずだから一つに集中したほうが良いのかもしれないわね。とも、里美は一人で難しく考えていた。
 二学期の終わりごろに差し掛か。宮古島もようやく秋の気配が届いた。気候は涼しく空気が乾いており、とても過ごしやすい毎日が短い季節ずっと続いた。観光客の足も遠くなっており、白浜もあまり人気を感じなくなっていた。北風も徐々に吹き始めてい。この凉けさも一週間後には冷感となっているかもしれない。ふと、里美はそう思った。そのときは住まいで果物でもスケッチしましょう。そうだわ、それがいいわね。などと考えながら。そのまえに衣替えがあるわ。遥ちゃんの冬服を買ってあげなきゃね。遥は、母、咲子が荷物になるからと沖縄へはワンピースといった軽装しかもってきてはいなかっただが、本当にその通りで、本土の冬服は飛行機の時につけた一枚しか持ち合わせてはいなかった。それではだめなのだ。厚着すぎて駄目なのである。一枚だから駄目というわけではなくて。ここは南の最南端地域。気候は日本というよりも東南アジアに近い。凍てつくほどの真冬がないのだ。であるからして冬着と言えば本土で言う秋服がちょうどよかった。もちろん数枚あれば事足りる。そんなに冬の季節は長くはないから。そうね、パーカーに長ズボンなど良いのではないかしら? それともオシャレにワンピースに似合うジャンパーか何かを買ってあげて長い靴下を揃えようかしら? いろいろ思考が交錯する。宮古島の衣類はその島の栄えている場所に行けば、マルエーという少し大きな衣類屋があって、その様なものが多少なりと揃えられている。通信販売では送料が高すぎて手が出ないのだ。ましてやその様な雑誌は商店に販売されていなかった。
「遥ちゃん、来週、マルエーにいきましょうね」
「マルエー?」
「大きなお洋服屋さんよ。そこで冬服を買うの」
 翌週の日曜日になると、遥と里美は栄えた町へと自転車二人乗りで行った。もちろん目的は衣料スーパー「マルエー」である。そして着いた。駐車場は、只々、だだっ広。二十年前の車両があちらこちらに散見される。離島には新古車どころか十年落ちの中古車もない。駐車されている車の中には農耕車も当然のように含まれており、見慣れている里美

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