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愛するということ 46

  「お願いだ。もう一つの世界でも何でも良い。だから戻してくれ !  お願いだから、誰か ! 」  やがて正樹は発狂した挙げ句、この空間でも気を失ってしまった。     正樹はハッとして目を覚ました。どうやら今見ていたものは夢だったようだ。それにしても酷い悪夢。彼は思った。   今、どこか分からない場所で仰向けに横となり天井を見ている状態。 正樹 はこの横になった状態に対して、何やら違和感を覚えた。それは場所がどうとか言うことではなく、自身の 身体 がまるで宙に浮いているかの様にふわりとして感じたからだ。   服は寝間着のような衣類にいつの間にか変わっている。 彼 は自分の背中より下から様々な機器の音や人の声、そしてまた、消毒液の様な余り嗅いだ記憶が無い匂いがする事にふと気が付いた。   正樹は思わず寝返る様にして下を確認した。   彼が目を向けた其処には、何と、危篤状態である自分の姿があった。正樹は驚愕した。   脳挫傷で意識不明の重体。現段階では生存確率は極めて低く、たとえ奇跡的に意識を回復させたとしても、後遺症によって社会復帰までには大分時間が掛かるという話を、駆け付けた佐代子達は聞いていた。 「そうか …… 、俺、病院に運ばれたのか …… 」  正樹は自身がまだ完全 に 切り離されていない霊体である事に気付きながらも、事件があった夜の出来事を思い出してそう呟いた。もしかしたら、先ほど夢だと思っていたのは、実は本当に起こった出来事だったのかもしれない 。 正樹はそう感じた。   彼は危篤な自身の姿を見るのが嫌になり、集中治療室から出る事にした。勿論、幾つかの機器音、臭い、そして室内は明るいがそれに反した重い雰囲気に嫌気が差したせいもある。   正樹は扉の近くから向こう側へと、仕切られた壁をスッと音もなくすり抜けた。   室から出た所で細長い待合用のイスがちょうどあったので、彼はそこにとりあえず腰を下ろす事にした。どうやら意識的に、物に触れたり抜けたりが出来る事を彼は知った。   待合室には、他にも手術後の全身麻酔から目を覚ます患者を待つ親族などが何組かおり、皆、一斉に一台のテレビをやつれ顔でボーっと眺めていた。当然、正樹の存在には誰一人として気付いていなかった。   正樹は何気に前方にある向こう側を見た。窓の外は明るい朝を迎えたばかり。彼は両手を組んでは両膝の

良いお年を。詩情 15

詩情 14

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