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小説家で詩人、占い師の滝川寛之(滝寛月)の国際的なブログです。エッセイ、コラム、時事論評、日記、書評、散文詩、小説、礼拝、占いにまつわること、お知らせ、など更新しています。よろしくね。
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愛するということ 34
「ち、違います! お、お願い、放して!」
「何言ってるんだ。もっと気持ち良いのはこれからだ」
今度は腰の上に乗った状態で恵の制服を脱がせようと両手を離した。恵はそうはさせまいと抵抗するが、腰から下が自由にならず、うまく力が入らない。守は途中でボタンを一つ一つ外すのが面倒になり、思い切りボタンを剥ぐ様にして制服を真ん中から破った。恵のブラジャーで覆われた両胸が露出した。守は更にブラジャーを脱がせようと、恵にくっ付き背中に手を回した。ホックが外れた。すかさず、今度は邪魔物を脱がせようと、力ずくでストライプを肩からずらし、とうとう完全に恵の身体からブラジャーを取り上げた。恵の両胸は完全に露出した。
「綺麗な胸、してるじゃないか。もう大人だな」
恵の両腕は、今、ストライプをずらすのに一杯だった守の両手から自由となっている。恵は咄嗟に両胸を隠した。
「おっと、まだ抵抗する気力が残っているのか。仕方ない奴だな」
そう言うと、守は力ずくで恵の腕を退かした。恵の綺麗で若い乳房が再び露出した。守が今度は、顔をゆっくりと露出した胸へと近づけてから、桃色の乳首に唇を当て、それから、とても愛しそうに、勃起した先を舌で舐めてから口の中へと含んだ。そして官能的に濡れた桃色なる乳首の全体を思い切りに吸い込んだ。その瞬間。恵の脳に、姉、知子と徹の間に起きた出来事が何重にも巡った――。
平成元年の二月八日の旧正月を終えかけた深夜から、徹による上村家長女、知子への性的暴行は始まり、そして、悲しい事に初めて知る性のぬくもりとこれから深まり行く強制的な快楽と共に彼女の心は徐々に崩れ去り、同年四月。高校三年となった知子は、遂に徹に対して完全に抵抗なき性的奴隷へと化した――。その出来事が、今、この場にいる恵を感情一杯に苦しめる。恵は耐えられず大声を発した。
「嫌――!」
その大声は、遮られた窓と壁から通る様に、辺り一帯にまで不思議に響き渡った。
「誰か、誰か助けて!」
その直後。家の外で恵の帰りを心配しながら待っていた実が、守の家の玄関の扉を音を立てて思い切り開いた。実と恵の目が遠くで合った。
「恵!」
実は声を大きくしてそう呼ぶと、土足で玄関へ上がり、守に思い切り飛びかかった。
「この野郎!」
大の男が病持ちの守を取り押さえる事は容易。
「恵! アイヤー、心配したよ。大丈夫ね?」
恵美もこの時、後から駆け付けていた。恵はこの事件後、実を少しでも疑った事実を思い切りに恥じた。
愛すると言う事~第六章
正樹は中学を卒業後、昔住んでいた家の隣に住む老夫婦の長男の紹介で、この東京へと就職に出た。旅立った先にあるこの大都会。その全てに、正樹は最初から圧倒され驚かされた。それはもう彼の目に映るもの全てが新鮮。それ位に、これから生活していくこの都会は、とても別世界に見えた。
東京、羽田空港には、これから世話になる社長の奥さんが迎えに来ていた。正樹は紹介してくれた長男のおじさんとその空港に着いた。
「健一さん、こっち、こっち!」
「ああ、こっちか」
二人は到着ロビーで、手を振る女性の元へと歩き直した。
「健一さん、御久しぶりです。元気でしたか?」
「うん、相変わらずね。佐代子さんも元気そうで良かった。ところで、良治の奴は?」
「今日もゴルフとかで、朝早くから出て行きましたよ。もう、こんな時に。ごめんなさい」
「いや、別に良いんだ。社長は色々付き合いが多いからね。それはそれで大変なんだよ」
「本当にごめんなさいね。お兄さんがせっかく来てるのに……。この子が正樹君ですか?」
「うん。正樹君、僕の弟の嫁さんだ。佐代子さんって言う人だよ」
「上間正樹です。よろしくお願いします」
正樹は旧姓の松田ではなく新姓で言った。
「あら、礼儀正しい子ね。金田佐代子よ、これからよろしくね」
「これから分からない事とか相談事とかあれば、彼女に話すと良い」
「はい」
「それじゃ、行きましょうか」
三人はモノレールから浜松町へ向かい、そこから山手線で池袋へと向かった。そして池袋を降りてから、今度は東武東上線を北上し、下赤塚でやっと外の空気を吸った。駅を出てから、途中、コンビニで今夜用の弁当とペットボトルで飲料水を購入してもらい、そこから更に数百メートル歩いた所に、木造三階建ての小さな会社はあった。一階の右半分が事務所で、左半分には寮で生活する人の為の小さな食堂や風呂場がある。二階三階にある幾つかの寮部屋の内、正樹は二階の西面角部屋を渡された。
「此処が今日からあなたが生活するお部屋よ。綺麗に使ってね」
「はい、ありがとうございます」
「それと、今日は日曜で誰も居ないから、自己紹介とかは明日の朝しましょうね」
「はい」
「それじゃ、僕はこれから佐代子さんと弟の家の方へ行くけど、後は一人で大丈夫かな?」
「はい、大丈夫です。ありがとうございました」
「いいんだよ。あ、それと、落ち着いたら必ず良晴おじさんに電話する様に。分かったね?」
「はい」
「うん。それじゃ、これから頑張ってな。体には気をつけろよ。じゃな」
健一は正樹に勇気を分け与えるように力強く言った。
「それじゃ、また明日ね。正樹君。あ、そうそう、明日の朝、八時には此処に呼びに来るわ。それまでお部屋で待っててね」
「はい」
仕事を紹介し、ここまで連れて来てくれた健一との別れは、意外にもあっけなかった。正樹の周りが急に言葉の無い静けさに包まれ、彼は段々と寂しさを心から感じるようになった。窓の外に見えるのは無機質な隣の建物の壁だけで、それを見ているだけで此処がとても窮屈に、そして暗く感じる。知らぬ場所でのこれからの一人とは、こんなにも孤独が漂っているのか。正樹はこの時、初めてそれを知った。
この都会で初夜となる昨夜、正樹は色々な思いと緊張から一睡も出来なかった。もう朝か――。全身が行動を拒むようにとても重かった。正樹は置かれてあった小汚いテレビを点けて朝のニュース番組を只ぼんやりと眺めた。少しばかりして部屋のドアが鳴った。
「正樹君、正樹君、起きてる?」
ドアをノックした佐代子が言った。
「はい」
正樹は慌ててドアを開けた。佐代子が笑顔で立っている。
「おはよう、昨日は良く眠れた?」
「あ、はい……」
正樹は気を遣って嘘をついた。
「朝ご飯出来てるから、下におりてご飯食べてね。それと、昨日言うの忘れてたけど、平日の夜は下で食事が用意されてるから、これから仕事が終わって帰ってきたら食べて。あと、今日は特別に朝食もあるけど、何時もは無いから気をつけてね」
「あ、はい」
「食事が終わったら、八時ちょっと過ぎまでそのまま下で待ってて。呼びに来るから。事務所で自己紹介しましょうね」
言って、佐代子はドアを閉めた。正樹は佐代子が一階に下りるのを階段のきしむ音で確認してから下におりた。食卓にはご飯が用意されている。正樹は椅子に腰掛けて、まだ慣れぬ周囲に目を配りながら、少し早く朝食を平らげた。壁に掛けられている時計の針は、七時四十五分辺りを指している。隣の事務所とコチラを結ぶ内ドアから佐代子が再び現れた。
「あら、もう食べたの? 早いわね。もう少しゆっくり食べればいいのに」
「あ、はい……」
「緊張してるのね。大丈夫。うちの会社、みんな明るくて良い人ばかりだから、すぐ慣れるはずよ。もうじき社長が来るわ。ここで待ってて」
言われて、正樹は食卓で一人待つことになった。五十分を過ぎた辺りから、二人の男の声が壁越しに聞えてきた。どうやら社員が出勤してきたらしい。正樹は更に緊張してきた。社長が来たのは八時をちょっと過ぎた辺り。
「おはよう、君が正樹君か」
先ほど佐代子が現れた内ドアから、背が高くがっしりとした男が出てきた。
「お、おはようございます」
正樹は少しどもった。
「うん、いい顔してるね。僕が健一の弟で社長の金田良治だよ。よろしく。君の事は兄貴から聞いてる。さあ、早速みんなに紹介しよう。こっち来て」
社長の良治は事務所側へと手招きした。正樹は事務所に入った。二人ほどの社員が各自のデスクで仕事をしているのが見えた。
「おい、二人とも、ちょっと仕事止めて、立ってくれる?」
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